2007年05月12日

●古都西安のシンボル

遥かな昔から、いくつもの王朝が盛衰を繰り返してきた西安(長安)。

イメージ中のそれは古都の名に相応しい、古い街並みの趣深い都市だった。ところが実際に目にする西安はビルの立ち並ぶ、一般的な地方都市でしかない。唯一古都としての自己主張を感じられるのが、街の中心部を取り囲む城壁と4つの城門、そして中心部に佇む鼓楼と鐘楼だ。

西安の城壁:クリックで拡大
城壁とは思えない巨大建築物が延々と続く
西安の城壁は隋・唐代に造られた土塁を基礎とし、明代に8年の歳月をかけて築かれた。600年の歳月を経た1980年代には崩壊寸前だったが、市民たちのボランティアを含む大修復により今は同市のシンボルとなっている。

高さ12メートル、平均幅13メートルの城壁が、外周13キロに渡って延々と続く。そのスケールの大きさには、ただただ息を呑むしかない。

ここで1時間の見学時間を与えられたので、電動カーで城壁を一周するツアーに参加した。ツアーといってもただ走るだけで、ガイドもなにもつかない。城壁の内側の市街地は場所ごとにその風景を変えるが、城壁の上はただひたすら同じ風景が続く。風を切って走りながら、これだけの巨大建造物を作ることができた人間の偉大さに、ただただ驚かされるばかりであった。

なお、城壁を周るためのレンタサイクルを借りることも可能だが、かなりの距離を走ることと、翌日の筋肉痛は覚悟したほうがよいだろう。時間と体力があれば試してみたいものである。
 

2007年05月11日

●歴史ロマンの世界へ

暑い暑いと聞いていた西安だが、列車から降り立った瞬間に寒さが身体を包み込む。

この日の西安の気温は16度。冷たい風が吹き荒さび、体感温度をそれ以下に引き下げていた。事前の天気予報によれば旅行中はずっと25度以上とされており、上着を持っていない半袖のみの参加者も多く見られた。この寒暖差は大陸内陸部ならではのものであろうか。

華清池:クリックで拡大
石造りの建物はすべて再建だ
寒いときには温泉に限る。というわけではないが、最初に訪れた観光地は、西安市街から東に30キロの地点にある華清池だ。ここには3千年以上昔から温泉の湯元があり、歴代の皇帝が湯治場として利用していたという。唐の玄宗皇帝が、傾国の美女楊貴妃とともに、享楽に耽った場所としても名高い。

敷地内には数々の宮廷建築や美しい庭園などが設えられているが、これらはすべて近代になって再建されたものだ。内部は博物館や売店などになっており、一部の建物内部には発掘された当時の湯船が見られる。一般向けの入浴施設は見られないが、有料にて足湯・手湯などを楽しむことができる。多くの温泉成分を含み、関節炎や皮膚病に効果があるのだとか。

またここは蒋介石が軟禁された西安事件の舞台とされ、近代中国史を学ぶうえでは重要な場所となる。が、残念ながら不勉強なのでここで蒋介石が襲撃されたといわれても、今ひとつパッと来なかった。この辺りは掘り下げて調べてみると、いろいろと面白いのではないかと思うのだが。

その後は始皇陵の地下宮殿を再現した秦陵地宮を見学、昼食あとはお待ちかねの兵馬俑だ。

兵馬俑坑:クリックで拡大
広大な空間にずらりと並ぶ兵馬俑はたしかに圧巻だが……
秦始皇帝兵馬俑博物は西安観光最大の目玉で、世界的に見ても学術的価値が高いものだ。

本来なら陵墓本体である始皇陵が最大の見どころとなるはずだが、残念なことにその存在は明らかながら発掘調査は行われていない。我々は地上からの探査と、その副葬物ともいえる兵馬俑坑の規模から、太古に築かれた世界最大の陵墓を想像するしかないのである。

そんな兵馬俑坑には1万体を越える兵士や馬の陶俑が埋められており、始皇陵を守る無言の軍隊として今も半数以上が地下に埋もれたままとなっている。兵士たちの表情は1体1体が異なっており、このような途方もないものを作らせることが出来た始皇帝の権力に身震いを覚えた。

数々の王朝が栄えた西安には今も、数々の歴史ロマンが地中に埋められているようである。

2007年05月10日

●シルクロードの起点へ (西安旅行)

貴州省での興奮冷めやらぬうちに今度は、陝西省の古都西安を旅することとなった。

西安はシルクロードの起点と呼ばれる街であり、いつの日か訪れてみたいとは考えていた。しかし、それはもうしばらく先のことであり、こんなに早くに実現するとは思ってもみなかったのだ。

西安へ向かう夜行列車:クリックで拡大
飛行機で2時間半の距離も列車なら16時間の長旅だ
今回の旅行の主催はぼくが通う大学だ。午前中は語学留学生、午後からは会社員と二足の草鞋を履くぼくとしては、学校のイベントも大切にしたい。これも授業の一環だと会社側には説明し、有給を使い参加させて貰うことにした。

西安までの交通機関は学生らしく汽車を使う。飛行機でならひとっ飛びの距離も、列車ではそうも行かない。往復で32時間、長い旅となる。

もっともそんな長時間の移動も、大勢の仲間たちといっしょならば意外と苦にならない。車内のそこかしこで酒盛りが行われ、あちらこちらから爆笑が聞こえてくる。ゲームやトランプをしたり、おしゃべりを重ねるうちにあっという間に消灯時間。あとは寝ているうちに西安に到着するだろう。

心地よい振動と初めての街を訪れる期待に包まれて、ぼくらはいつしか眠りに落ちたのだった。